特定非営利活動法人埼玉広域避難者支援センター

福玉支援センター

埼玉県内に避難している人々が、避難元地域の状況や帰還・移住の選択を問わず、生活を再建し安心して暮らせる社会を目指しています。
政策提言

「世界で最も厳しい⽔準の規制基準に適合すると認められた原⼦⼒発電所の再稼働を求める意⾒書」の再考を求める陳情

埼玉県議会に対して、「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力電所の再稼働を求める意見書」の再考を求める陳情を行いました。

<陳情書PDF文書はこちら>


2018年2⽉15⽇

埼玉県議会議長
小林 哲也 様

特定⾮営利活動法⼈・埼⽟広域避難者⽀援センター
埼⽟県さいたま市浦和区常盤6丁⽬4番21号
代表理事 ⻄城⼾ 誠

「世界で最も厳しい⽔準の規制基準に適合すると認められた
原⼦⼒発電所の再稼働を求める意⾒書」の再考を求める陳情

2017年12⽉22⽇の埼⽟県議会において、「世界で最も厳しい水準の規制基準に適合すると認められた原子力発電所の再稼働を求める意⾒書」が可決されました。
私たちは、東⽇本⼤震災および福島第⼀原発事故によって埼⽟県内に避難している人々が避難元地域の状況や帰還・移住の選択を問わず⽣活を再建し安⼼して暮らせる社会を⽬指して、避難者への⽀援活動や、⽀援に関わる行政・民間団体・当事者団体との連携の推進を⾏っていますが、以下の理由から県議会が可決した意⾒書に反対し、意⾒書の再考を求めます。

<理由>

2011年3⽉11⽇の東⽇本⼤震災と東京電⼒福島第⼀原発事故は、改めて⾃然災害の脅威を私たちに⽰しただけではなく、原⼦⼒発電という技術を⼈間が完全にコントロールすることは不可能であるという事実を知らしめました。
福島第⼀原発事故から7年が経ようとしていますが、原発⽴地点周辺を中⼼に、いまだ帰還ができない状況であり、放射線被害が⻑期かつ深刻であることを物語っています。
埼⽟県においても、約4000⼈の⽅が避難⽣活を続けていることは周知の通りです。
また、原⼦⼒発電の稼働に際しては、⾼レベル核廃棄物が⼤量に発⽣しますが、この核廃棄物処理の問題は、⽇本の原⼦⼒政策が開始されて以降、未だ確かな⽅法が確⽴されておりません。

⼀⽅で、県議会が可決した意⾒書には「電源⽴地地域対策の趣旨に基づき、新たな産業・雇⽤創出を含む⽴地⾃治体の実態に即した地域⽀援を進めること」とあります。
これは原⼦⼒発電所がない埼⽟県が、発電した電⼒だけは利⽤し、原⼦⼒発電事故のリスクや犠牲、負担は他の⾃治体に負わせるという発想に他なりません。
逆に⾔えば、埼⽟県に原⼦⼒発電所や核廃棄物処理施設の建設を求める声を誘発することにもつながります。

以上のように、県議会が採択した内容は、原⼦⼒発電所や核廃棄物処理に伴う潜在的なリスクを、埼⽟県と埼⽟県⺠に対して積極的にもたらすことに他ならず、「県⺠の皆さまが安⼼・安全に暮らすことのできる郷⼟埼⽟」を築き上げるという貴職の決意とは、180 度異なるものであるといわざるを得ません。

原発⽴地点周辺だけではなく、広範な地域に深刻な被害を与え、原発事故による避難者は現在も数万⼈存在します。
原発事故や、原発事故による避難者の⽅々からの教訓を、私たち埼⽟県⺠は学ぶ必要があると考えます。
今回、貴議会が採択したこの意⾒書は、原発事故によって被災・避難された⽅々が抱いた原発事故に対する⾔葉にできないほどの苦悩と、これまで埼⽟県内で積み重ねてきた官⺠の被災者・避難者⽀援の取り組みを、踏みにじるものです。
原⼦⼒発電所の問題は、国や⽴地地域の意向だけで判断することができない問題です。
今回の「世界で最も厳しい⽔準の規制基準に適合すると認められた原⼦⼒発電所の再稼働を求める意⾒書」に際しても、多くの埼⽟県⺠の意⾒を取り⼊れて判断をする必要があります。

このように、県議会が採択した「世界で最も厳しい⽔準の規制基準に適合すると認められた原⼦⼒発電所の再稼働を求める意⾒書」は、内容的にも合意形成プロセスの観点からも、数多くの問題があります。
地⽅議会の意⾒書は提出されたら撤回できません。
徹底した議論が必要であったにもかかわらず、安易に意⾒書を採択し、住⺠の軽視、議論の軽視を導いた埼⽟県議会の責任は重⼤です。
広範な県⺠の意⾒を踏まえて、⾃治体の議決機関として、「世界で最も厳しい⽔準の規制基準に適合すると認められた原⼦⼒発電所の再稼働を求める意⾒書」を再考するように求めます。

以上

【2/28】シンポジウム「震災から6年、広域避難者の生活と支援を考える~いま、埼玉の市民と行政にできること~

※画像をクリックするとPDF表示されます

震災から6年を経ようとしている現在、福島県浜通りでは、浪江町や富岡町が平成29年度の避難指示解除に向けた取り組みを加速し、コンパクトシティや生活拠点が整備されつつあります。また、一昨年避難指示が解除された楢葉町、昨年解除された南相馬市小高区では「市民・町民帰還は10%を超えた程度」とも言われています。浜通りで生活を再開するには何が必要なのか、「帰還」はあきらめていないものの当面は避難先で生活する以外に選択肢がない方には何が必要なのか、考えていく必要があります。
他方で、避難指示区域外からの自主避難者への借り上げ住宅提供は2017年3月で終了し、避難指示区域の方々の住宅提供も遠くない時期に終了が予想されます。こうした方々が生活困窮に陥らず、次の生活に移行できるように、避難先の自治体・市民ができることを考えていく必要があります。原発事故による避難者の問題は、そう簡単に解決できるものではありません。
このシンポジウムでは、福島大学の今井照先生に基調講演をいただくとともに、これまでの県外避難者支援の活動を振り返って、今後の県外避難者やその支援のあり方について埼玉県内の自治体職員や一般市民の皆様と一緒に考える機会にしたいと考えています。

◆日時
2017/2/28(火) 18:30~20:30

◆会場
浦和コミュニティセンター 第13集会室
〒330-0055 埼玉県さいたま市浦和区東高砂町11-1 10F
TEL 048-887-6565

◆アクセス
【電車】
・JR線「浦和駅東口」より徒歩1分
【駐車場】
・駐車台数835台(公共駐車場・有料 30分200円)
 駐車台数に限りがあり、駐車できない場合もございますので、公共交通機関での来館にご協力ください。

◆内容
・被災者調査から考える自治体の使命(ミッション)
 今井照さん(福島大学行政政策学類 教授)
・埼玉県における広域避難の現状と課題~自治体・避難者調査の知見から~
 原田峻(立教大学コミュニティ福祉学部 助教)
・埼玉県における避難者支援の取組み
 永田信雄(埼玉県労働者福祉協議会 専務理事・埼玉広域避難者センター 専務理事)
・埼玉県の区域外避難者の現状と今後の課題
 吉田千亜(ライター)  他

◆備考
参加費無料、申し込み不要です。直接、会場にお越しください。

◆主催
NPO法人 埼玉広域避難者支援センター

◆共催
一般社団法人 埼玉県労働者福祉協議会NPO法人ハンズオン埼玉

◆後援
法政大学人間環境学部立教大学コミュニティ福祉研究所

◆お問い合わせ
一般社団法人 埼玉県労働者福祉協議会
〒330-0061 埼玉県さいたま市浦和区常盤6丁目4−21
TEL048-833-8731